旅のみやげもの

広島県安芸郡熊野町 熊野筆

 広島県南西部に位置する熊野町は、人口約25,000人のうち約1,500人が筆司[ふでし]という筆づくりの技術者で、事業所の数も100以上あるという熊野筆の産地だ。

 熊野町で筆が作られるようになったのは、江戸時代の末。農地の少なかった熊野では、農閑期に農民たちの多くが吉野や紀州へ出稼ぎに出ており、その帰りに奈良や大阪で筆や墨を仕入れて、行商をしながら熊野へ帰っていった。これが熊野と筆を結びつけるきっかけになったという。さらに当時の広島藩が工芸を推奨したことから、熊野では筆づくりが本格的に取り組まれるようになった。

 明治時代の義務教育開始に伴い、筆の生産量は大きく増加。戦後は書筆の需要が落ち込んだが、画筆や化粧筆の生産をはじめ、現在は書筆と画筆、化粧筆のいずれも全国生産の約8割を占める。近年は化粧筆が人気だ。毛先を切らずに揃えているため、肌触りが良く、ハリウッドやパリコレのメイクアップアーティストも愛用しているという。

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