Blue Signal
November 2004 vol.98 
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珠洲焼[すずやき] 石川県珠洲市
能登半島の先端、日本海に面した珠洲市。三方を海に囲まれた自然豊かなこの地で、平安時代の末期から室町時代に至る約400年間、中世日本海文化を代表する陶器、珠洲焼が焼かれていた。珠洲焼は、古墳時代に朝鮮半島から伝わった技術で焼かれた須恵器の系統を受け継ぐ焼き物。窯に入れて高温で焼き締めるため、粘土に含まれる鉄分が黒く発色するとともに、灰が自然釉となり、灰黒色をしているのが特徴。主に、甕や壺などがつくられ、海上輸送により、日本海沿岸の各地へ運ばれていった。しかし、戦国の世になると越前焼などに押されて急速に衰え、姿を消した。

戦後、珠洲古陶の窯跡が発見されたのをきっかけに、現代に蘇らせようという珠洲市や地元有志の尽力のもと、再興される。現在は、若い陶芸家たちが昔と同じ技法で、素朴かつ力強い灰黒色の器をつくっている。
イメージ
「櫛目袈裟襷文壺[くしめけさだすきもんこ]」 鎌倉時代中期 珠洲市立珠洲焼資料館蔵
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