音の故由

滋賀県彦根市

大名庭園・玄宮園

彦根城の時報鐘と虫の音

 滋賀県の北東部、西に琵琶湖を望み鈴鹿山系を東に彦根城はその優雅な姿を見せる。1604(慶長9)年に築城が始まり約20年の歳月をかけて完成した。江戸期を通じて井伊家代々の居城であり、姫路城、松本城、犬山城、松江城と並び、築城当時の天守が現存する国宝五城に数えられる。

 城内の太鼓門近くにある時報鐘は、城下に時や合図を打ち鳴らして知らせる鐘で、当初は南側端の鐘の丸に設置されていたが、北側に音が届かないという理由で現在の場所に移されたという。鐘は幾度となく造り替えられたが、現在の鐘は12代藩主(14代とも)井伊直亮[なおあき]の時代に、より美しい音色になるようにと大量の小判を入れて鋳造されたと伝わる。

 時報鐘は、夏には蝉時雨、秋には鈴虫や松虫の鳴き声とともに「日本の音風景百選」に選ばれている。毎日朝の6時から夕方の6時まで3時間ごとに打ち鳴らされる。城下に鳴り響く鐘の音は「お山の鐘」として彦根市民はもとより、観光に訪れる人々に時を知らせるとともに彦根の風物詩として親しまれている。

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