郷土の旬をいただく いただき

 「いただき」は鳥取県西部の弓ヶ浜半島を中心に伝わる郷土料理だ。大きな油揚げの中に米や野菜を詰め、それをだし汁でじっくり炊き上げる。かつては特別な行事の折に各家庭で作られ、近所の方々にもふるまわれたという。また、春と秋の農家の農繁期の弁当としても親しまれた。

 その始まりは明治時代の中頃、福井県の寺院と交流のあった境港市の寺の住職が、精進料理として出された「油あげ」を気に入り、持ち帰ったことに由来するという。また、独特な料理名については諸説あるが、ご近所から「もらう」のではなく、「いただく」という感謝の気持ちがそのまま名称として地域に定着したそうだ。

 見た目はいなり寿司のようだが調理方法は全く異なる。味つけや具材、調理方法は各家庭で異なり、親から子へと受け継がれる弓ヶ浜半島の「おふくろの味」として現在に伝わっている。

【作り方】

  • 1. 米は洗った後、1時間ほど水につけてざるにあげる。
  • 2. ごぼうはささがきに、にんじんは千切りにする。
  • 3. 油あげの一辺に切れ目を入れ、熱湯で油抜きをする。
  • 4. 下準備した具材(ごぼう、にんじん)と米を混ぜ合わせ、油あげに詰める。平らにならし、切り口をつまようじでとめる。
  • 5. 炊飯器の底に昆布を敷き、下ごしらえをしたいただきを並べる。
  • 6. 昆布のだし汁に砂糖、醤油、酒を加えて炊き、10〜20分ほど蒸らせば完成。

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