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匠への道

技術を受け継ぐ旗手たち(第7回)

岡山支社 倉敷電気区 込山 博文 係長

岡山支社 倉敷電気区 込山 博文 係長

「電車線設備」「電灯電力設備」「変電設備」 − 電車や駅などに電気を供給するための各種設備のメンテナンスを行う。それが、倉敷電気区 電力グループの係長として活躍する込山の仕事だ。グループ会社の検査結果をもとに、設備を修繕すべきかどうかを判断するのだが、この見極めが難しい。「検査標準をもとに判断するのが基本ですが、杓子 しゃくし定規に数字だけを追っていては良いメンテナンスはできません。標準となる数値の背景にある根拠を理解しているか。加えて、数値だけでは捉えられない『違和感』に気付けるか。これらが重要になってきます。こういった『知識』や『経験』は、ベテラン社員には及びません。まだまだ学ぶことが多くあります」と込山は語った。謙遜した物言いだが、その言葉の端々に、「これからの倉敷電気区を背負っていく」という気概が感じられる。

込山博文係長

電気の知識はゼロからのスタート。積極的な姿勢と努力でそのハンデを克服

高校の普通科を卒業した込山は、平成10年に入社。大阪の電力区に配属され、まずは電車線設備のメンテナンスを担当することに。その頃について、込山は述懐する。「これまで電気の勉強なんてしたこともなかったので、初めは『電気って何?』という状態でした。しかし、どうせやるからには一番の技術を身に付けたいと思っていました」。そこで、必死になって勉強をしたという込山。「その際、分からなくてもすぐに先輩に聞かず、自分で調べるようにしました。そうすることで、知識が身に付きやすくなりました。また、目指すべき先輩社員を探して、その先輩の技術・技能を少しでも自分のものにするように、その背中を追っかけ回しました」。そういった姿勢と努力のかいもあり、次第に電車線設備のメンテナンス業務で頭角を現すようになっていった。

グループ会社への出向を経て、もう一段階成長

そんな込山に転機が訪れたのは、入社10年目を迎えた頃。グループ会社である西日本電気テック株式会社に出向したのだ。ここで初めて、駅の照明などの電灯電力設備に関する業務を行うことに。「電灯電力設備の検査をするのですが、JR西日本ではこれらの業務は行いません。赴任当初は検査方法や設備の仕組みが理解できておらず、大変苦労しました」と語る込山。また、作業は協力会社とともに行う機会が多いが「これまで触れ合ったことのない『職人気質』の方々に納得してもらえる指示をいかに出すかが分からず、手探りの状態でした」。苦労も一入 ひとしおだったが、その分得るものも大きかったという。「さまざまな失敗もしましたが、新しい業務にチャレンジしたことやグループ会社の中で揉まれたことで、自分の業務の幅が広がりました」。

上司の叱責を契機に、「お客様最優先」にあらためて向き合う

その後も経験を重ね、平成25年には岡山支社 電気課の電力グループに配属されることに。ここで、今でも忘れられない出来事に遭遇する。「福山駅にて瞬時停電により電灯回路が一時的に停電するという事象がありました。幸い、間もなく復旧したので、上司にその旨を報告したところ『お客様の状況はどないなってんねん!』とおしかりを受けました。その際、何も答えられない自分がいました。お客様最優先のはずが、自分たちの設備にしか気にしておらず、まったく周りが見えていない。自分の視野の狭さに気付かされました」。この出来事を受けて、込山はあらためてお客様の視点に立って仕事をしようと心に誓った。

先輩方から学んだことを後輩にも伝えて、ともに成長していきたい

今後の意気込みについて尋ねると、込山は「私自身、まだまだ学ぶことが多くありますが、後輩社員に自分の知識や技術・技能を伝えていく立場でもあります。私が先輩方から学んだことをどんどんと伝えて、ともに成長していきたいと思います」と言って笑顔をのぞかせた。今後の活躍に注目したい。

  • 計画書類にチェック漏れがないか、隅々まで確認。
  • 軌陸両用車の状態を点検。夜間の検査に向けて、準備を整える。

期待の一言

倉敷電気区
田原 啓一区長

入社当時の込山係長は、「常に一番の技術力を身に付けたい」という気迫に満ちあふれた、少しやんちゃで活発な社員だったと記憶しています。そんな性格から、きちんとした意見や目標を持ち、将来を意識した業務を行っており、上司やベテラン・後輩からの信頼も厚い係長です。また、グループ会社出向、電力指令、間接部門、研修センターとさまざまな立場を経験しているので、その時の失敗談や技術・技能のノウハウを後輩に継承し、さらに電気分野における安全な鉄道を構築できる「真の匠」となることを期待しています。

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