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総合職採用

車両

本社 車両部 担当部長 兼 車両課長 島田 直人 1991年 入社

Career Step

  1. 1991年広島支社 幡生車両所 車両係
  2. 1992年本社 車両部 管理課
  3. 1993年本社 車両部 車両課
  4. 1997年京都支社 吹田工場 助役
  5. 1999年京都支社 車両課
  6. 2002年本社 車両部(在来線新製改良)
  7. 2006年神戸支社 網干総合車両所 電車センター長
  8. 2007年神戸支社 網干総合車両所 明石支所長
  9. 2010年本社 車両部 車両設計室 担当課長
  10. 2017年本社 車両部 担当部長 兼 車両課長

曲線の速度向上を実現する
制御付き振子システムを開発。
技術者としての成長を感じる

本社 車両部 車両課

安全・安心な運行を支える保守関連の仕事が多くを占める車両部門の業務の中で、新しい車両を創り出す役割を担うのが設計の仕事です。車両の改造と新車の製造を手がけますが、ちょうどこの時期にその2つに業務が分かれ、ベテラン経験者の多くが改造グループに移り、私が新車グループの性能やシステム関係の取りまとめを担うことになりました。その際に取り組んだのが、制御付き振子システムの開発です。
制御付き振子システムとは、台車に取り付けることによって、曲線をスムーズに速く走れるようにする制御システムのことをいいます。遠心力のみで車体を振ろうとした場合、曲線に入ってからでないと遠心力が働かないので車体の振り遅れが発生しますが、制御システムを入れ、曲線の手前から振り始めることで滑らかな走行を実現できます。乗り心地が良くなるので曲線も速く走れるという仕組みです。山間部や海沿いといったカーブが多い地域に取り入れられる特別なシステムで、283系(くろしお・オーシャンアロー車両)への導入を目的に、その制御システムの開発を一人で任されました。
曲線の速度向上には、台車に取り付ける制御システムのほか、架線や電力、地上の保線などとの連携も考えなければならず、それらを担当する各部署のスタッフと一体となってプロジェクトを進めました。部署間の調整や、夜間の試験走行と評価・調整の繰り返しなど大変なことも多くありましたが、当社初となる制御付き振子システムの基本設計から性能評価、導入までを担当できた達成感は大きかったです。技術者として自信を持つことができた時期でもあり、その意味でも283系は思い入れのある車両となっています。

成長を支えたもの

「知っていることをやるのは判断をしているわけではない。分からないことを決めるのが判断だ」この言葉は、車両設計について一から教えていただいた直属の先輩から掛けてもらった一言です。過去の経験や事例に基づいて決定を下すのは「判断」したことにはならず、誰もやっていないことをどうしようかと自分で考え抜き、一歩を踏み出すのが本当の「判断」というわけです。それを踏まえた上で、「きちんと判断する仕事をしなさい」とアドバイスをいただきました。その「判断」を下すには、それ相応の知識や技術、経験が必要なわけですが、この先輩の言葉は仕事をする上で常に心に留めており、技術者としての私の成長を支えてくれたと思います。

現場での業務を通じて、
開発者として車両の能性と、
現場の使い勝手のバランスを
考える視点を再認識する

京都支社 吹田工場 助役

自動車に車検があるように、鉄道車両にも当社規定に基づくメンテナンスが定期的に行われます。その作業の一翼を担うのが吹田工場で、その中にある電気部品やブレーキなどの空気部品、内装部品の交換、補修などを担当する100名規模の職場に、現場の作業をサポートし、品質管理を手がける品質助役として就任しました。当時は工場に入ってきて出場していくまでの期間は約3週間。現場ではスピードと正確さが求められますが、部品を交換した際の動作不良や調整不良による不具合などを発生させてしまった場合、その原因を探り、改善策を考え、時には担当者と一緒に手を動かしながら品質の管理に努めました。
吹田工場では、近畿圏を走る電車の約半数の車両のメンテナンスを受け持っており、近畿圏を走る電車の品質を自分たちが担う重責を感じるとともに、それが仕事のやりがいにもなっていました。私自身のことでいいますと、これまでに培ってきた技術力を発揮できたことの喜びも大きかったです。また283系をはじめ、それ以前に私が設計を担当した車両がメンテナンスのために入場してくることもありました。我が子を迎え入れるようなうれしさを感じる一方で、例えば283系の場合、振り子を振らせるために車両間を渡すケーブルが長めに設計されており、メンテナンスが通常の車両よりかなり大変という現実も目の当たりにしました。「機能上どうしても必要」と開発側の人間は言い訳してしまいがちですが、現場の使い勝手とのバランスを考える必要性を再認識でき、その視点を得られたことは、その後の設計・開発業務を手がける際にも活かされています。

「瑞風」の開発プロジェクトに参加。
初運行を見送った際の喜びと達成感

本社 車両部 車両設計室 担当課長

電車は架線から電力を取り入れて走行しますが、電化されていない区間ではディーゼルエンジンを搭載し、自ら動力を出す気動車が用いられています。近年ではディーゼルエンジンで発電し、モーターを動かすといったハイブリッド車両が主流となってきており、当社でも導入を検討していました。そんな折、当社のフラッグシップとなる車両の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」に開発中のハイブリッド主回路システムを搭載することが決定。私は性能、システムの設計チームのリーダーとして、7名の仲間と共にプロジェクトに参加することになりました。
新しいシステムなので開発段階では上手くいかないことも多く、トライ&エラーを繰り返すなかでやるべきことを明確化し、一つひとつ課題をクリアしていきました。また新設計における課題のほか、タイトな製作スケジュール、世間的にも大きな注目を集める「瑞風」といった重圧のなか、開発を期限内に完了。営業投入の初日に、宮原支所から出区していく瑞風の雄姿をチームの皆で見送った際は、感無量でした。
今後も車両を預かる部門として「良い車両を永続的に供給し続ける」ことをめざし、その実現に向けて仲間たちと一緒に日々の業務に全力で取り組んでいければと思います。

私の地域への取り組み

鉄道にご乗車されているお客様は、通勤・通学、お買い物やご旅行など、生活の一部としてご利用いただいています。お客様を安全に、そして時間通りに目的地までお届けするために、私たちは常に自分の業務に全力でまい進しています。そんな日々の業務を通して、安全・安心な運行を積み重ねることが地域の皆様への貢献につながると考えています。
また、瑞風のプロジェクトを通じて普段ご利用いただいている列車とはまた違い、ご利用いただくお客様だけでなく、瑞風が各地を巡ること自体が地域の活性化につながるという、そういった貢献の仕方もあるのだと感じることができました。