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ニュースリリース

2018年3月22日
経営関連

3月定例社長会見
1.最近の営業・輸送概況
2. JR西日本「技術ビジョン」

詳細

 3月定例社長会見動画



1 最近の営業・輸送概況

【取扱収入】
 取扱収入
  ※注釈:駅などでの取扱高(消費税を含む)を示します。 
  ※注釈:直営の速報値です。(旅行会社発売分などを除く)

【ご利用状況】
 ご利用状況
  ※注釈:実績は速報値です。

2 JR西日本「技術ビジョン」
 当社が考える将来のありたい姿に向けた技術の方向性を示す「技術ビジョン」を策定しました。
 私たちJR西日本グループは、鉄道を中心とした交通サービスを社会基盤として持続的に提供し、安全で豊かな社会づくりに貢献する、という使命を果たすため、様々な取り組みを積み重ねているところです。2018年度からは新たな「中期経営計画」と「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022」をスタートさせます。その基盤である「安全」と「CS」を支える「技術」の方向性を示すものとして、技術ビジョンを策定しました。

 私たちの使命と技術ビジョン

 今、私たちは、人口減少や高齢化といった重大な社会課題に直面しています。また、自然災害の激甚化や、インバウンド需要をはじめとしたニーズの多様化など、環境の変化は日々そのスピードを増しています。一方、世の中では、IoT技術やAI、ロボット技術など、数々の技術が目覚しく進歩しています。私たちは、これら新しい技術を積極的に活用し、システムチェンジをはじめとした果敢なチャレンジに取り組むことで、先ほど述べた課題の中においても、私たちの社会的使命を果たしていきたいと考えています。そのため、中期経営計画よりも長期的な概ね20年後を意識し、当社のありたい姿の実現を技術面から模索していく姿として、「技術ビジョン」を策定しました。この技術ビジョンは、課題解決の手段として、技術を活用していく方向性を示すものです。
 コンセプトワードである「技術で切り拓く交通の進化」には、これまで以上に技術の可能性を追求し、「技術によってお客様に届ける価値を高める」、「交通サービスとして進化し続ける」、という思いを込めています。なお、これからお示しする技術の活用例には、比較的目前のものから、将来を見据えた構想段階のものまで様々ございます。

【3つのありたい姿】
 技術ビジョンでは、当社が取組む方向性を、3つのありたい姿として設定しました。
 一つ目、「さらなる安全と安定輸送の追求」
 二つ目、「魅力的なエリア創出の一翼を担う鉄道・交通サービスの提供」
 三つ目、「持続可能な鉄道・交通システムの構築」です。

 3つのありたい姿 

【さらなる安全と安定輸送の追求】
 まずはその一つ目、「さらなる安全と安定輸送の追求」です。
 安全性の向上に向けて、これまでに私たちは、体調が悪くお客様がふらついてしまうなどの通常でない行動を、画像認識技術を用いて検知し、現地での対応につなげる遠隔セキュリティカメラシステムの導入などに取り組んできました。技術ビジョンでは、当社の最大の使命である安全性向上に向けた不断の努力として、また輸送品質向上の取り組みとして、技術開発を通し、「リスクの見える化」、「人と技術の最適な融合」、「お客様や社会との連携」に取り組みます。

 さらなる安全と安定輸送の追求

 まず、「リスクの見える化」として、センシングや画像認識、シミュレーションといった技術の活用により、リスクアセスメントの重要な要素であるリスクの抽出を支援するとともに、沿線環境や鉄道設備などさまざまなリスクの把握とその低減に努めます。また、不審行動の検知などを進め、駅構内や車内の安全性を向上し、お客様にさらに安心してご利用いただける環境をめざします。
 次に、「人と技術の最適な融合」として、ヒューマンファクターに対する知見などをもとに、技術(テクノロジー)が人を支えることで、人の強みである柔軟な対応力をより活かせる業務環境の構築をめざします。保安システムの進化やシステムによる指令業務の支援強化、また現場と指令のコミュニケーション手段の充実などによる異常時の判断業務のサポートなどに取り組みます。そして、お客様や社会とつながり、連携することによって、社会全体での高いレベルでの安全と安定輸送の実現に取り組みます。例えば、SNSなどの情報から分析を加えることで、異常をこれまでより早く把握することなども検討します。また、自動車の自動運転やITS技術などと連携し、踏切が鳴っている時には自動車が進入できないようにするなどの方法により踏切の安全性向上ができないか検討します。
 リスクの見える化に向けて具体的に取り組む事例として、航空レーザー計測などの活用による斜面防災の取り組みについてご紹介します。
 豪雨時の土砂流入などは、鉄道にとって脅威です。私たちはこれまで、線路沿い50から100メートル程度の範囲に対する地形把握により、そのリスク対策に努めてきました。そして、近年の気象変動も踏まえ、より広範囲の斜面の状況を把握するため、レーザスキャナ、デジタルカメラを用いた航空計測により取得した3次元の地形情報を活用する取り組みを進めています。得られた3次元の地形情報から作成する微地形表現図には、業務提携を締結しているアジア航測株式会社の協力のもと赤色立体地図の技術を活用する取組みを進めています。微地形表現図を用いて広範囲の地形を判読することで、これまで把握できなかった線路遠方からの土砂流入や落石などのハザードの把握が可能になると考えています。ハザードを把握した箇所の詳細調査とともに、地質や降雨などの情報を加味したリスクを精査し、効果的な対策につなげることで、鉄道の安全性を高めていきます。

 さらなる安全と安定輸送の追求

 続いて、「保安システムの進化」に向けた具体的な取り組みとして、無線式ATCの導入についてご紹介します。
 この無線式ATCとは、無線で連続的に列車を制御するシステムです。無線を利用して、列車間で位置情報を共有し、常に安全な列車間隔を確保した列車の走行制御が可能で、安定輸送への効果も期待できます。また、自動車が踏切で立ち往生した場合などの、踏切の異常情報を無線で列車に伝えることができます。この技術により従来よりも早い段階で緊急ブレーキをかけることが可能となり、踏切の安全性向上にも寄与すると考えています。また、大雨などの自然災害時には一時的な速度規制を遠隔制御で行うことも可能です。無線による連続的な列車制御は、信号機などの地上設備が削減出来ることから、メンテナンス性の向上にもつながります。無線式ATCの導入で「より安全に、より維持しやすい」鉄道を実現していきます。現在は開発をほぼ終え、先行導入線区について検討している段階です。また、連続制御の利点を活かした将来の自動運転についても可能性を検討していきます。

 さらなる安全と安定輸送の追求

【魅力的なエリア創出の一翼を担う鉄道・交通サービスの提供】
 続いて、魅力的なエリア創出の一翼を担う鉄道・交通サービスの提供についてです。
 お客様にご満足頂くために私たちは、これまでにe5489やスマートEXによるネット予約の拡充や、ICカードのご利用可能エリア拡大、また、列車走行位置情報の配信などのサービス提供など利便性の向上に取り組んできました。
 今後、技術の発展により、お客様や社会との「つながり」が、より一層強まる時代になると考えています。技術ビジョンでは、そのつながりを活用することで、シンプルでシームレスな移動をご提供し、お客様が、何かお困りの場合やご旅行時には、お一人おひとりのご要望に応じた、「あたたかく寄り添うサービスの提供」をめざしています。「シンプルでシームレスな移動の提供」に向け、チケットレスなどのご利用手続きのシンプル化や、他交通などとの連携したシームレスな乗り継ぎサービスの提供を、また、車椅子など、移動に制約をお持ちのお客様が鉄道をスムーズにご利用いただける環境をめざします。
 そして、「一人ひとりにあたたかく寄り添うサービスの提供」に向けて、地域情報やお客様の趣向などを複合的に分析するAI技術を用いたデータマーケティングにより、お客様にご満足いただける魅力的な旅行をご提案するとともに、沿線地域との協力による地域活性化にも貢献していきたいと考えています。また、乗り換え案内や周辺の購買情報、多言語対応といった、お客様お一人おひとりのニーズに応じた分かりやすい情報配信などを実現していきたいと考えています。

 魅力的なエリア創出の一翼を担う鉄道・交通サービスの提供

 魅力的なエリア創出の一翼を担う鉄道・交通サービスの提供

 こうした技術的な取り組みと、人ならではのサポートの組合せにより、私たちは、あたたかみのあるOne to Oneのサービスをお客様にお届けしていきます。
 「シームレスな移動とOne to Oneのサービスの提供」に向けた具体的な取り組みとして、2023年春開業予定のうめきた(大阪)地下駅をご紹介します。私たちは、うめきた(大阪)地下駅を、常に最新技術を取り入れた「シームレス」で「One to One」なサービス技術のショーケースとして、そこに行けば駅の未来が見える、そのような位置付けの駅とする挑戦をすすめます。私たちは、オープンイノベーションスタイルで、スピーディかつ柔軟に新しい技術を取り入れ、真に魅力ある利便性の高いシームレス・One to Oneなサービスを実現し、未来駅を具現化させるチャレンジに皆様と共に取組みたいと考えています。

【持続可能な鉄道・交通システムの構築】
 最後に、持続可能な鉄道・交通システムの構築についてです。
 業務の効率化や精度向上にむけて私たちはこれまでに線路状態を車上から計測する線路設備診断システムの導入などに取り組んできました。

 持続可能な鉄道・交通システムの構築

 20年後のありたい姿の実現に向けて、さらに新技術を取り入れ、さらなる生産性の向上、働き方改革、エネルギー効率の向上による、持続可能な鉄道・交通システムの構築を目指していきます。
 「技術を活用した生産性の向上」に向け、私たちは、走行する車両や、センサーネットワークを活用した検査業務の機械化をすすめるとともに、設備状態の常時把握による、新しいメンテナンス手法への転換をめざします。また、ICT技術活用による働き方改革の支援として、部門をまたいだデータの利活用を進めるとともに、社内クラウドやGISなどによるシミュレーション環境の活用など、業務の効率化などを進めていきたいと考えています。加えて、新しい技術の導入によるエネルギー効率の向上や、さまざまな交通モードとの連携による、地球環境にやさしく、利便性の高い鉄道・交通サービスの提供をめざしています。車載型IC改札機の導入など、地上に配置している設備の機能を車両に集約する取り組みを進めていきます。

 持続可能な鉄道・交通システムの構築

 持続可能な鉄道・交通システムの構築

 「新しい技術の活用による生産性向上」に向けた、具体的な取り組みとしてメンテナンス手法の転換についてご紹介します。
 現在、私たちは一般的な設備保全手法として、設備に合わせた一定の周期ごとにメンテナンスを行う、TBM(Time Based Maintenance)を実施しています。この手法では、まだ健全な設備でも更新などの処置を行うため、場合によっては過剰対応となるほか、一律的な基準での修繕では、予防保全上、十分でないケースも考えられます。
 そこで、私たちはメンテナンス手法をCBM(Condition Based Maintenance)に転換することをめざしています。CBMは、個々の設備状態を常時把握し、状態に合わせて必要な処置を行うことで、設備故障を防ぐメンテナンス手法です。この手法が実施できる環境下では、より正確で効率的なメンテナンス業務が可能となります。私たちはそのCBMの実現にむけて、先ほどの線路設備診断システムをはじめとした地上検査の車上化や、営業列車の状態をリアルタイムで把握する車両状態監視装置などの開発に取り組んできました。そして、これらではカバーできない設備には、センサーを取り付け、ネットワークで収集する、センサーネットワークの整備に取り組みます。すでに開発に着手しており、本年2月2日からプロトタイプによるフィールド上での実験を行っています。この、「3本の矢」を揃えることで、まずは検査業務の省力化と線路内作業の低減に取り組むとともに、収集したデータの横断的な活用を可能とし、最適なメンテナンス対応を行う、CBMの実現に取り組みます。

 持続可能な鉄道・交通システムの構築

 持続可能な鉄道・交通システムの構築

 以上、今後の具体的メニューも交えながら、技術ビジョンに示す私たちのチャレンジをご紹介しました。
 これらは、あくまで現段階での方向性を示すものであり、世の中の情勢や技術の進歩により刻々と変化していくものと考えられます。私たちは、その変化に合わせた修正を重ねながら技術ビジョンで示したありたい姿の実現に向け、より一層組織の力を結集しつつ、外部の方々と連携するオープンイノベーションを軸として、取り組んでいきます。

 社長会見で使用した「JR西日本 技術ビジョン」のビジュアル資料につきましては、こちらをご覧ください。(PDF形式:3,389キロバイト)
 「JR西日本 技術ビジョン」のホームページについては、こちらをご覧ください。
 2023年春開業予定の「(仮称)うめきた(大阪)地下駅」での技術ビジョンの具体化への挑戦については、こちらをご覧ください。

 技術で切り拓く交通の進化

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