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輝く匠

安全・安心を支える技術(第16回)

豊富な知識・経験から最適な答えを導く(新幹線管理本部 博多総合車両所広島支所 東風 浩二 助役)

新幹線管理本部 博多総合車両所広島支所 東風 浩二 助役

匠プロフィール
昭和54年国鉄入社。大阪第一運転所(現JR東海 大阪交番検査車両所)で車両検査の業務に携わる。昭和59年に大阪第二運転所(現大阪新幹線運転所)で新幹線運転士、昭和63年に東京指令所で新幹線の列車指令。平成4年からは広島支社輸送課で在来線の指令、輸送計画、運転設備の業務に携わる。平成16年に現職場に配属となるが、平成17年に広島支社輸送課で在来線の基準運転時分の見直しやATS整備など、安全性向上の一翼を担う。平成19年より現在の職場で構内ダイヤ作成や信号扱い、着発線増設工事を担当する。平成22年からは構内限定運転士の養成、教育にも携わる。
 

車両所には車両の検修担当者だけではなく、検査や設備保守の計画作成や車両の入れ換え作業など、検修をサポートする人たちがいる。博多総合車両所広島支所で活躍する東風もその一人だ。

飽くなき向上心と考動

広島の呉で生まれ育った東風は、地元の高校を卒業後、運転士に憧れて国鉄に入社。まず新幹線の車両検修に携わったが、それだけではなく車両に関わる知識全般を貪欲に学んだ。「新幹線の電気的な構造を理解するために、結線図を白紙から書けるまで理解し覚えました」。通信研修にも力を入れ、やがて、競争率約20倍という難関を突破し、憧れの運転士となった。安全で乗り心地のよい運転を心掛けたことはもちろん、新幹線の編成両数が多様化する中、停止位置誤りを防ぐための両数シールを運転台に貼ることを提案するなど、業務の改善にも力を入れた。

さらに、乗務中に受けた指令員の紳士的で的確な業務指示に感激し、自らも新幹線指令を志望。指令所は時に怒号が飛び交う、紳士的なイメージとは裏腹の職場だったが、持ち前の向上心を発揮し、運行管理システムの取り扱いなどを徹底的に学び、先輩を上回る実務能力を身に付けるまでになった。

その後、広島支社輸送課で在来線の輸送計画や運転設備の更新などを担当することになった。新幹線との違いに戸惑いながらも、ここでも貪欲に知識・技能を高めた。やがて、一旦は現在の職場に転勤となるが、平成17年に福知山線列車事故後の広島地区でのATS整備や基準運転時分の見直しなどを担うべく再び広島支社輸送課に復帰した。東風は、自ら考えて動くという信念に基づき、より実態に即した設備の実現にまい進した。「線路図や机上の計算だけに頼るのではなく、運転士の声を聞いたり、現場に足を運んだりすることで、より運転しやすい設備位置や基準運転時分になるよう工夫しました」。

皆が納得できるように

東風は、現在車両検修をサポートする業務に携わっている。構内ダイヤの作成もその一つだ。作成にあたっては、線路・架線の保守や清掃の計画、臨時列車の運転ダイヤなど、所内外のさまざまな作業計画との調整が必要で、経験豊富な東風にとっては腕の見せどころだ。「これまでの経験を参考にしながら、関係者のニーズを最大限満たせるように考え、工夫します。時には自分だけが異なる意見の時もありますが、粘り強く調整します。そのかいあって、これまでよりも、お客様や関係者のニーズを反映させたダイヤ設定ができるようになったと思います」。

自分で考える社員を育てる

東風は、構内限定運転士の養成・教育も担当している。「マニュアル通りに作業手順を教えるだけでは本質は理解できません。また、頭ごなしに叱るだけでは今の社員はついてきません。まず、考えさせ、やらせてみて、うまくいけばほめる。自分の失敗談などをもとに、リカバリー方法なども考えさせます。自分で考える社員を育てること、これが私の目標です」。

飽くなき向上心と考動で職場をけん引する東風。車両検修のサポート役として新幹線輸送を支えつつ、今日も後継者の育成に力を入れる。

  • ポイント注油作業を確認する
  • 構内運転士への添乗指導
  • 車両検修担当など、他の系統とのコミュニケーションも欠かせない

未来の匠

白木 幸成

東風さんは、ご自身の経験談を交えながら重要なポイントを明快に分かりやすく示してくださいます。また、仕事に対するひたむきさ、向上心あふれる姿勢は大変勉強になっています。私は今、指導操縦者として構内運転士を養成する立場ですが、これからも東風さんから教わった知識、技能を自分のものにしていき、後輩たちへつなげていきたいと思います。

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