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輝く匠

安全・安心を支える技術(第7回)

運転士としての誇りと責任をもって、お客様の暮らしをサポート(福知山支社 福知山運転所 運転士 島崎 博之)

福知山支社 福知山運転所 運転士 島崎 博之

匠プロフィール
昭和55年、日本国有鉄道入社。昭和59年、豊岡機関区で機関助士を経て、機関士となる。機関車・気動車・電車の運転資格を有しており、現在は福知山運転所に所属し、日々安全・安定輸送に取り組んでいる。指導操縦者としても多くの運転士を指導、新規運転士見習を養成するなど、その経験と実績は豊富である。また、指導操縦者を取りまとめ、後進の育成にも全力を注いでいる。

島崎は香住で生まれ育ち、高校の友人に誘われ昭和55年に国鉄に入社。配属された豊岡機関区で、機関士になることを目指しながら車両の誘導や連結作業に携わった。その後、2年間の機関助士を経て機関士となり、山陰本線や播但線などを中心に活躍。DD51形機関車の運転は特に記憶に残っており、完璧な列車操縦を目指して日々奮闘している。

変わる「お客様」への意識

島崎の長い運転士生活の中で、大きな転機となったのが、ワンマン列車の運転だ。

それまで、島崎にとって運転士の仕事とは、お客様に直接接することのない裏方の仕事だった。ところが、ワンマン列車では、きっぷのルールをはじめとする営業制度の知識のほか、接客技術も求められる。島崎は、慣れない運賃の収受に苦労し、人見知りということもあり、お客様を目の前にすると特に緊張した。それでも、通勤・通学や旅行などでご利用いただくお客様に直接接することで、お客様の暮らしをサポートできていることに充実感を感じた。お客様からいただく「ありがとう」の一言がこんなにもうれしいものだと初めて気付いた。

鉄道はサービス業であり、お客様にご利用いただいて会社が成り立っている。島崎はワンマン列車の運転を機に、このことを本当の意味で理解し、よりお客様を意識して運転に臨むようになったのである。

変わらない気持ち

長く運転士経験を積む中で、変わらない気持ちもある。それは「機関士魂」とも言うべき、運転士としての誇りと責任感だ。保安設備の普及、車両性能の改善、マニュアルの整備などにより、鉄道運行における安全性は時代とともに向上してきた。しかし、列車の運行における最後の砦は乗務員だ。島崎は言う。「列車は自分が守る。この気持ちは1年目の新人であろうと、30年目のベテランであろうと、運転士が共通して持っておくべきものだ」。

阪神・淡路大震災で山陽本線、東海道本線が不通となった際、う回路線となった山陰本線で乗務する島崎は、「お客様を目的地までお運びしてこその鉄道」との思いで、被災地に向かう多くのお客様を乗せ、強い責任感を持って運行に努めた。若手もベテランも運転士魂を持って困難に立ち向かった。

職場の連帯感

職場の風土を創るのは、そこで働く社員一人ひとりだ。福知山運転所は、運転に真摯に向き合いながらも、明るく温かみを感じる職場だ。島崎は言う。「指導する・されるという役割の違いから、内勤と運転士の間には壁も必要かもしれないが、その壁は低くてよい」。島崎に第三子が誕生した時のことだ。島崎の妻が危険な状態に陥り、内勤が乗務中の島崎を呼び戻そうとしたが、島崎は職務を全うすることを選択した。内勤当直たちは、病院からの連絡を受け島崎の妻と同じ血液型の社員を連れ、病院に駆けつけたそうだ。幸い、大事には至らなかったが、島崎の使命感と内勤当直の支えが互いの結束を固くした。

島崎は指導操縦者として、また、職場のベテラン社員として、知識、技能のみならずこれまで培ってきた運転士としての感性や運転士という職務の機微も伝える立場となった。一方で、島崎自身、今でも先輩から学ぶことが多々あり、まだまだレベルアップできると確信している。向上心を持って、さらなる高みを目指す。

  • 内勤とも積極的にコミュニケーションを図る。
  • 気持ちを込めて点呼に臨む。

未来の匠

山下 裕貴

島崎さんの高い運転技術・技能はまさに匠にふさわしく、とても勉強になります。職場でもとても親しみやすく周りから尊敬される存在です。
運転操縦はもちろんのこと、「考えて運転すること」「常に謙虚な姿勢でいること」「周りの社員に感謝すること」「同僚を大切にすること」「運転士としての誇りとこだわりを持つこと」など運転士としてあるべき姿を教わりました。
私は今に満足することなく、親方に少しでも近づけるよう日々成長していこうと努力していきます。

岡田 健

島崎さんに線路見習いとして指導していただいています。乗務の中でも線路・作業・線区の要注意ポイントを的確に指導していただいています。
島崎さんの豊富な知識や経験などから多くを学ぶとともに、仕事に対する取り組み姿勢を見習いたいと思います。
私は運転士としての職責の重さを忘れず、先輩から学んだことを生かし、より知識・技能を高めていきたいと思います。

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