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ヒューマンエラーとヒューマンファクター

私たちが集団となったときの特性

私たちが社会の中で仕事をしていく時は、通常、自分1人ではなく、同じ職場の上司・先輩・同僚等と協力し、また他の職場の社員とも連携しながらチームプレーで進められていきます。集団で効率よく仕事を進めていくためには、信頼されるリーダーの下で、個々のメンバーの役割や責任を明確にし、メンバー同士のコミュニケーションをしっかり図ることが求められますが、同時に、集団特有の特性についても注意が必要であると考えています。

(1)コミュニケーション

円滑なコミュニケーションを図るためには、物事を正確、簡潔に伝えることが必要であるのは勿論ですが、メンバー同士の間でしっかりした信頼関係が結ばれていることも重要です。

また情報を伝える際には、自分の都合だけではなく、相手の立場や技量にも十分配慮しなければ正確に物事を伝える事はできません。特に、仕事の領域や文化的な背景の異なる人同士のコミュニケーションでは、同じ言葉を使っても違った意味に受け取られる可能性があります。不十分なコミュニケーションは、集団で作業する際のエラーを引き起こす原因になることを常に意識しておくことが重要です。

(2)集団になると現れる人の特性

人間は長い間集団生活を営んでくる中で、自分の属した集団の中で居心地よく暮らしていくための特性や、自分の属している集団はとても素晴らしく大切にしたいと思う特性を備えていますが、時としてその特性が集団活動に害を与えたり、集団全体が仕事や社会に対して不安全な行動を起こしたりします。

集団になったときの特性としては、次のようなものがあると考えています。

  1. ① 権威勾配:
    チームで行動する時、効率よく仕事を進める上ではリーダー(上司)を置くことが一般的です。この時リーダーと他のメンバーとの間の力関係を「権威勾配」と呼びます。権威勾配が緩すぎるとチームの統率が取れなくなり、またきつすぎると一方的な命令ばかりになって他のメンバーから重要な指摘も意見も出せなくなってしまいます。
  2. ② 同調/相互依存:
    皆が言うならそれでもいいという「同調」や大勢いるから少しくらい手を抜いても大丈夫(相互依存)という気持ちは誰でも抱きがちです。これではいくら優秀な人材を集めてチームを作っても大きな能力を引き出すことができません。
  3. ③ 集団浅慮:
    会議を早くまとめたり、厳しい意見の対立を避けようとして、都合のよい情報だけで判断したり、合意の得やすい結論に落ち着くこともよくあります。チームの構成メンバーは、しばしばこのような行動に陥りやすいということにも注意が必要です。
  4. ④ 身内大事:
    チームの中で波風を立てたくない、組織のためには仕方ない、というような感情も重要な特性の一つです。この特性は他のメンバーの誤りを指摘しなかったり、データの隠蔽改ざんなどの重大な組織的犯罪につながることが起こります。
  5. ⑤ 他のチーム(外集団)への無関心:
    自分たちのチームは大丈夫、対岸の火事でよかったと思う特性は、他山の石を自らの教訓とすることができなくなってしまいます。

このような、人が集団になると現れる特性にも十分気をつけていくことが必要です。

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