鉄道に生きる

谷口 正樹 米子支社 鳥取鉄道部 鳥取工務支部 係長

チームを大切にし部下の育成に真摯に取り組む

レールの幅と高さをミリ単位で確認。

 「バレーボールをしていたせいか、チームプレーが大好きです。線路を保守点検する保線という仕事は『線路を良くする』という共通の目標に向かって取り組む感覚が自分には合っていると思います」と語るのは、米子支社 鳥取工務支部 谷口 正樹係長。「何でも楽しむ性格」という谷口は、難しい仕事に直面しても「解決策を考えるのを楽しむ」といつも前向きだ。

形作られた安全への思い

「チーム力の向上のためには話し合いが不可欠」と語る谷口。

 最初の配属は加古川管理室。鳥取県出身の谷口は播州弁と関西弁に驚きつつ、親ほど年の離れた先輩とともにひたすら現場で線路検査の基礎を学んだ。

 入社2年目の2001年1月24日、山陽本線朝霧触車事故が発生。「仕事で仲間を失うということに大変なショックを受け、働くことに不安や迷いを感じました。しかし、上司の『これから新入社員が入ってくる。彼らにはこんな思いをさせてはならない』という言葉で迷いが晴れ、安全に仕事をするために仲間とともに議論し、改善を図りました」。

 その後出身地である山陰に戻り保線業務に従事していた時、伯備線触車事故が発生。「なぜ」と耳を疑った。「二度も仲間を亡くし、頭が真っ白でした。しかし、月並みな言葉ですが、すべきことは事故を二度と発生させないことです」。自職場の要注意箇所、ルールとその定められている背景、基本的なことから徹底を図った。現在米子支社では「安全は米子が一番」のスローガンを掲げて取り組んでおり、この意味を自分ゴトとして捉えて谷口は考動している。

成功が自信につながる 直轄施工で踏切舗装板を改良

担当業務外の相談にも快く応じる。

 思い出深いのは、若手中心で取り組んだ踏切の舗装改良工事だ。米子支社管内では踏切と道路の交差部を木材で舗装するケースが多いが、年月が経てばどうしても腐ってしまうため、舗装部分を樹脂製の板に改良する工事を実施することになった。施工にあたり上司から、「通常ならグループ会社に委託するような工事だが、直轄でやってみないか」と薦められた。同種工事の直轄施工は支社としても初めての取り組みだったが、チャレンジ精神旺盛な谷口は「やります」と即答。現地調査から材料調達、施工まで全てを直轄で行った。「いろいろな経験を積んでほしいという思いから、入社10年目ほどの後輩に当日の責任者を任せ、私はサポートに回りベテランの方々にはあまり手は出さず影から支えていただくようお願いしました。当日、責任者は大変緊張していたので、『まずいと思ったら俺が出るから』とリラックスして臨むように声をかけました。ベテラン、若手と、まさにチーム一丸となって取り組み、無事に工事が完了した時の達成感は忘れられません。これを機に、施工に携わったメンバーのチャレンジ精神の向上にもつながったと感じています」。この時責任者となった後輩は独り立ちし、その後の同種工事を次々と担当していった。後輩の成長が何よりもうれしく、成功体験が人を育てることを体で学んだ。

「後輩が見ている」

 ベテラン社員が徐々に退職し始めるのと同じころ、係長になった。「後輩ではなく部下を持ち、職場を守ることに対し急に危機感が湧きました」と当時の心境を語る。「部下の成長は上司がカギと思っています。人によって接し方を変えるなど自分なりに教え方を工夫しているつもりです。常に話しているのは『後輩が見ているぞ』ということです。先輩や上司はもちろんですが、後輩の目を意識することで、『負けてはいられない』という意識につながり、互いに高め合えると思うのです。係長になって間もないので、まず自分が見られている意識を忘れずに、先輩や上司と相談しながらより良い指導方法を考えていこうと思います」。

 目標とするのは、上司部下関係なく話し合える、互いに高め合える職場だ。「指示待ちでなく、あれがしたい、これがしたい、と意見が飛び交う積極的な職場をつくりたいです。自分『たち』で考えて仕事をすれば楽しいですし、仕事も好きになると思います」と、チームで能動的に取り組む魅力を語る。谷口の今後の活躍から目が離せない。

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