ふるさとの玩具

大内人形 【山口県山口市】

 丸顔におちょぼ口の何ともいえない表情をした男女一対の「大内人形」。「大内塗」の代表的な作品で、漆器と同じ工程で作られた全国的にも珍しい人形だ。

 南北朝時代、大内弘世が周防・長門の守護となり、山口で京を模した街づくりを始めてから以後約200年間、山口は「西の京」と呼ばれるまでの栄華を誇り「大内文化」ともいわれる独自の文化が隆盛した。「大内塗」もそんな中で誕生したもので、「大内朱」と呼ばれる朱色を使い、大内氏の家紋「大内菱」を図案化して金箔を貼り、秋草模様が描かれているのが特徴だ。

 その技術を生かした「大内人形」が誕生したのは、それよりずっと後の大正時代のこと。大内弘世と姫の伝承をもとに作られたのが始まりだ。大内弘世は、京都から迎えた姫が華やかな都を恋しがったため、京都から多くの人形師を呼び寄せて屋敷中を人形で飾って姫を喜ばせたため、人々が屋敷を「人形御殿」と呼ぶようになったというもの。そのため、大内人形は夫婦円満の象徴として広く愛されている。

ページトップに戻る
ローカルナビゲーションをとばしてフッターへ