旅のみやげもの

兵庫県豊岡市 豊岡かばん

 兵庫県の北東部に位置する、豊岡市。円山川が悠々と流れるこのまちは、特別天然記念物・コウノトリの里として知られるほか、日本有数の鞄[かばん]産地としても有名だ。

 鞄の産地としての歴史をたどると、1000年以上前にもさかのぼる。杞柳[きりゅう]細工の材料となる「コリヤナギ」が円山川周辺の湿地帯に自生しており、奈良時代に作られた「但馬国産柳箱」が正倉院御物として今も残っている。江戸時代には、豊岡を領地とした京極氏が藩の殖産事業として杞柳産業を奨励し、軽くて丈夫、通気性もある柳行李[やなぎこうり]は高く評価された。明治には3本の革バンド締めの「行李鞄」が考案された。これが豊岡鞄の源流といわれる。大正時代に入るとこれに漆を塗った鞄、昭和3年頃にはファイバー鞄が商品化されるなど、新素材への挑戦を続けてきた。

 近年は、最盛期に比べて安価な輸入品に押されてはいるものの、東京のデザイナーとコラボレートした新ブランドを展開するなど、人気を集めている。豊岡駅のほど近くにある「カバンストリート」には鞄職人の工房や鞄の自動販売機が並び、個性豊かな鞄を発信している。

ページトップに戻る
ローカルナビゲーションをとばしてフッターへ