Blue Signal
January 2010 vol.128 
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西日本 美味礼讃 イメージ
伊吹大根 滋賀県米原市

 倭建命の伝説や、「古事記」や「日本書紀」に登場する滋賀県の最高峰、伊吹山。伊吹大根は、その麓で古くから栽培されている。

 独特の辛味があり、長さは20cmほどの寸胴型で丸く、根の先はねずみの尾のように細い。葉と首は赤紫色をしており、肉質はきめ細かで、水分も少なく硬い。その特徴から、地元では「けっからし(蹴っても折れない)大根」や「ねずみ大根」などと呼ばれており、1697(元禄10)年に出版された日本最古の農書『農業全書』にも記載されている。

 しかし、大根の品種改良による栽培種の転換や他の大根との交雑などにより、純粋な伊吹大根の栽培はわずかに残るだけになってしまった。そこで滋賀県や米原市、地元農家などが協力し、伝統の大根を守ろうと取り組んでいる。
 収穫は11月から2月頃まで。辛みを楽しむには「おろし」にして、伊吹大根と同じく伊吹山麓で古くから栽培されているそばとともに食べるのが良い。硬い肉質のため、漬け物にすれば歯ざわりが良く、炊き込むと煮崩れせず、辛みが抜けて旨みがひきたつ。生産量が少なく、販売は地元のみに限られているが、近年注目を集めている。 イメージ
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