Blue Signal
March 2009 vol.123 
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探訪 鉄道遺産
探訪 鉄道遺産 多くの人に親しまれ、隆盛を誇った、
九州・釜山への玄関口 関釜・関門航路 下関鉄道さん橋跡 〈山口県下関市〉
 下関鉄道さん橋は、関門航路と関釜航路という2航路の開設に伴い、1914(大正3)年に築造された562mの本格的な桟橋である。

 1901(明治34)年に開設された関門航路は下関と門司を結ぶ鉄道連絡航路である。一方、関釜航路は、韓国・京釜鉄道の京城(現ソウル)〜釜山間が開通したのを機に1905(明治38)年に開設したもので、下関〜釜山間(226km)を11時間30分で結んだ。

 下関鉄道さん橋からは、数多くの人や荷物が門司・釜山へと旅立っていった。関釜航路は、国内産業の興隆と朝鮮半島や中国大陸の鉄道の発展、日韓併合などにより、貨客の輸送量が増え、7000〜8000トン級の大型新造船が就航するまでの隆盛を誇る。しかし、1945(昭和20)年に戦争の激化によりその機能を失った。一方、関門航路も関門トンネルの誕生により、市民の交通手段へと役割を変え、1964(昭和39)年には幕を閉じた。

 九州・釜山への玄関口として賑わったさん橋は道路となり、今は「海峡ゆめ広場」に設置された記念碑が静かに当時の面影を伝えている。

【アクセス】山陽本線「下関駅」下車徒歩約7分
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