Blue Signal
July 2008 vol.119 
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探訪 鉄道遺産
探訪 鉄道遺産 明治中期に広く活躍した日本初の勾配線用機関車〈交通科学博物館〉
 1880(明治13)年に開業した官設鉄道京都〜大津間のうち、山科〜大谷間は5kmもの急勾配区間であった。1801形蒸気機関車は、この勾配区間用として輸入された小形の蒸気機関車である。設計したのは鉄道局汽車監察方のイギリス人技術者B. F. ライトで、イギリスのキットソン社に発注され、1881(明治14)年に製作された。

 1800形蒸気機関車は8両輸入され、京都〜大津間のほか、1883(明治16)年に開通した長浜〜敦賀・関ヶ原などの勾配区間で使用された。その後は全国各地で急勾配用や短距離貨物機関車として活躍した。

 交通科学博物館に展示されている1801号機は、1930(昭和5)年に高知鉄道に払い下げられた後、1940(昭和15)年に東洋レーヨン(現・東レ)に売却され、原材料輸送機関車として1963(昭和38)年まで使用されていたものである。1964(昭和39)年に同館に寄贈され、往時の活躍をうかがわせる輸入当時に近い姿で鎮座している。

【アクセス】大阪環状線「弁天町駅」下車すぐ
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