Blue Signal
January 2005 vol.99 
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膳所焼[ぜぜやき] 滋賀県大津市
琵琶湖南岸に位置する町、膳所。膳所焼は江戸初期に興った膳所藩の御庭焼で、小堀遠州七窯の一つでもある。藩主・菅沼定芳[さだよし]の時代に焼かれ始め、次の藩主・石川忠総[ただふさ]と親交のあった小堀遠州の指導のもと、茶道具などが焼かれ全盛期を迎えた。薄作りで黒みを帯びた鉄釉が特徴で、遠州好みの「綺麗寂び」といわれるつくりをしている。本阿弥光悦が膳所の土を取り寄せて焼いた「膳所光悦」も数点残っている。

初期膳所焼は、お国替えや藩の財政事情もあって忠総一代限りで途絶え、その後も梅林焼や雀ヶ谷焼などが興ったが続かなかった。1919(大正8)年、膳所町の岩崎健三が膳所焼の廃窯を惜しみ、友人の日本画家山本春挙[しゅんきょ]とともに岩崎家別邸の敷地内に登り窯を築き、膳所焼は再興された。健三は生涯をかけて復興に尽力し、今では茶陶として揺るぎない地位を得ている。
イメージ
「膳所光悦茶碗[ぜぜこうえつちゃわん]」 本阿弥光悦作 江戸時代初期 膳所焼美術館蔵
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