撮影実績

撮影レポート

映画旅の贈りもの 明日へ

旅の贈りもの 明日へ

出演者 前川清(仁科孝祐/現在)、酒井和歌子(秋山美月/現在)、山田優(香川結花)、須磨和声(久我晃)、葉山奨之(仁科孝祐/過去)、清水くるみ(秋山美月/過去)ほか
公開日 2012年10月27日(土)全国公開
※2012年10月13日(土)福井先行上映
撮影日 2012年4月10日(火)、15日(日)、16日(月)、17日(火)、20日(金)
撮影場所 「489系」ボンネット型車両車内、特急「サンダーバード」車内、丸岡駅、金沢総合車両所、福井駅、石動駅、一乗谷駅

あらすじ

過去やこれからの人生について考え悩む3人が、それぞれ東京・名古屋・大阪から列車に乗って福井を訪れます。定年を迎えた仁科孝祐は第二の人生の幕開けとして、42年前の初恋相手の突然の別れの理由を探すために。同じころ結婚を間近に控えた香川結花と、自信を失ったヴァイオリニストの久我晃も福井を目指します。それぞれが福井での旅と出会いを通じて成長していく様子を描く感動の物語です。

撮影に至るまで

2006年に公開された「旅の贈り物 0:00発」のプロデューサーより、福井を舞台にした映画撮影のため、ボンネット型特急電車を走らせたいと熱い要望をいただきました。走行可能なボンネット型車両は金沢の車両所に489系という車両が1編成留置されていましたが、検査期限が切れて廃車解体待ちの状態でした。そこで社内の関係各所の協力を得て必要な検査を行い、何とか復活させる目途が立ちました。

プロデューサー、監督、カメラマンとロケハンを重ね、その結果を元に運行ダイヤを組みました。あるポイントで撮影した後に、先回りして次のポイントで撮影できるように途中の駅で時間調整を行いました。42年前の別れのシーンを撮影する駅は、いくつか候補駅を挙げた結果、石動(いするぎ)駅に決定しました。また、489系ボンネット型車両は非常に人気が高い車両なので、運行時の安全を確保するために当社社員に加えて警備員も配備して万全の体制で撮影に臨みました。

撮影場所・内容

Point1

北陸線丸岡駅

2012.04.10 撮影

当社での撮影は、現在の丸岡駅から主人公の前川さんが下車するシーンから始まりました。見学に来られた地元の皆さんに、優しく話しかける前川さんの姿が印象的でした。

Point2

金沢総合車両所

2012.04.15 撮影

車両所で489系ボンネット型車両の外観と車内の記録撮影です。車両所では特別に「雷鳥」のヘッドマークを取り付けました。明日の走行を前に、綺麗に磨かれて廃車待ちとは思えない美しい姿になっていました。

Point3

489系車内、北陸線福井駅・石動駅

2012.04.16 撮影

いよいよボンネット型車両が走行します。2011年3月末に「ありがとう489系号」として臨時走行して以来なので心配していましたが、未明に金沢総合車両所を出発して快調に走り始めました。途中の武生駅までは運転室からの全面展望撮影を行いました。武生駅からは出演者やエキストラの皆さんが乗車され、慌しく車内の撮影準備が始まります。上空には空撮のヘリコプターも飛んでいます。

敦賀駅で折り返して、福井駅では孝祐と晃がボンネット型車両から下車するシーンの撮影のため、約20分の停車です。限られた時間の中でスタッフの皆さんは素早く準備を整えて撮影されていました。

その後も車内や沿線での撮影が続き、金沢駅でボンネット型車両の初日の撮影は終了しました。休む間もなく石動駅に移動します。夕方から準備を行い、日が暮れたころに42年前の孝祐と美月がベンチに座って会話するシーンの撮影が始まります。撮影は予定時間を超えて深夜に及びました。4月とはいえ冷え込んで、出演者・スタッフの皆さんも立会いの私たちも寒さに耐えながらの撮影となりました。

Point4

北陸線福井駅、489系車内、石動駅

2012.04.17 撮影

翌日は福井駅の改札内で主人公の3人が交錯するシーンの撮影からスタート。周囲のお客様のご迷惑にならないようにタイミングを見計らって撮影を行いました。その後ホーム上で列車に乗り込む孝祐と、それに気づく結花のシーンを撮影します。

福井から高岡までは特急「サンダーバード」の1両を貸しきって、孝祐と結花がそれぞれ車内で座っているシーンの撮影が続きます。

夕方からは昨日に引き続きボンネット型車両の登場です。42年前に孝祐が大阪行きの列車に乗り、美月に見送られる別れのシーンの撮影を石動駅で行います。失敗に備えて発車シーンを2回撮影できるように運行ダイヤを設定しました。撮影用とはいえ、一度列車が動き出すと途中で停車させたり、バックすることはできないため、発車シーンの撮影は慎重に行わなければなりません。スタッフと私たちと車掌が連携して秒単位で発車までの時間を確認します。いよいよ発車時間となり、ドアが閉まって孝祐と美月は離れ離れになります。悲しげな警笛を鳴らしながら発車するボンネット型車両。列車を追いかける美月役、清水くるみさんの熱のこもった演技により無事に撮影が終了しました。朝から晩まで気の抜けない撮影の連続で、立会いを担当した私達はようやくほっと一息つきました。

Point5

越美北線一乗谷駅

2012.04.20 撮影

一乗谷駅から結花が降りてくるシーンです。一般の列車を利用した撮影のため、列車の運行を妨げないように注意して、無事に当社での撮影は全て終了となりました。

これまでに何度も撮影用の臨時列車を走らせましたが、今回は廃車が決まっている車両を復活させて走らせるということで、非常に苦労しました。社内の関係各所と何度も打ち合わせを行い、多くの人の協力で無事に走らせることができました。苦労はしましたが、489系ボンネット型車両の最後の走行シーンを映画という形で記録に残すことができて良かったと思います。

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