撮影実績

撮影レポート

映画出口のない海

出演者 市川 海老蔵(並木 浩二)、上野 樹里(鳴海 美奈子)、塩谷 瞬(伊藤 伸夫)、伊勢谷 友介(北 勝也)、三浦 友和(並木 俊信)、古手川 祐子(並木 光江) ほか
公開日 2006年 秋
撮影日 2005年11月2日(水)〜3日(祝)
撮影場所 山陽本線 新山口駅

内容

山陽本線新山口駅でロケが行われた映画「出口のない海」。この映画は、大学の野球部で肩を壊したエース並木が、再起を図るため野球に情熱をかけながらも次第に戦乱に巻き込まれていくようすから始まります。戦局が悪化する中、やがて海軍に志願した並木は、人間魚雷「回天」に搭乗することに。仲間と共に厳しい訓練に耐える中で生まれた友情、出動を間近に控え揺れ動く心、常に死と隣り合わせの戦闘シーンなどを描くことで、戦争の悲しさ、愚かさを現代に伝えてくれます。

撮影場所・内容

Point1

撮影列車準備

撮影準備は11月2日の夕方から始まりました。並木が乗る出征列車は、SLやまぐち号を使用。車両を留置する場所で、時代考証のためのさまざまな「ばれかくし」に始まり、客車ボディに引いてある白線を往時を偲ばせる赤線に変更する作業などが行われました。1車両約20mある5両の客車のうち4両分を変更するため、4時間にも及ぶ作業となりました。また、車内に固定してある机を外すほか、お別れで窓から顔を出すシーンのため窓外し作業も行うことに(やまぐち号の客車は半分しか窓が開かない構造になっており、ロケ当日まで誰も気づきませんでした・・・)。撮影開始の時間が迫る中、美術部スタッフと弊社技術者との共同作業でなんとか撮影に間に合いました。ふう。

Point2

新山口駅ホーム準備

一方、新山口駅のホームでは、戦時中の雰囲気を出すため駅の照明は使用せず、照明部が準備した照明を吊り下げる作業が行われました。これと並行して、SL車内とは比べ物にならないくらい「ばれもの」の宝庫であるホームの作業が行われました。ただ、ホーム上の設備は、列車運転に欠かせないものも多いため、モノによっては、最終列車が終了した後に「ばれかくし」を行いました。
この間演出部は、早い時間に列車の発着が終了する2番ホームに、300名ものエキストラさんたちを誘導。出征の際の旗振り、掛け声などの演技指導を行っていました。

Point3

いよいよ撮影開始

11月3日の0:15、1番ホームにSLが入線してから撮影が開始しました。最初は、ホーム雑感やホームから見た車内の並木を撮影。この後、車内からホームの並木の家族を撮影するカットなど、SLが止まったままの撮影が続きました。ここのクライマックスは、並木が出発してしまうことを事前に知らされておらず、直前で知り、やっとの思いで駆けつけた美奈子のカット。監督も非常にこだわりのあるシーンのようで、上野 樹里さんは何回も走ってくるシーンを演じていらっしゃいました。

3:00を過ぎた頃から、いよいよSLを走行させての撮影がスタート。今回は、列車の動きに合わせて美奈子がホームを小走りするカットなので、事前に、最低4回くらい列車を動かして欲しいとの要望を受けていました。通常の鉄道運行は、信号機の色表示で出発、停車などを行います。また、一度出発したら通常ではバックは簡単には行えません。が、今回の撮影を成立させるため、出発、走行、後退を車庫内などで列車を入れ替える際の方式で行いました。

監督からは、人が歩くよりもゆっくり発車し、加速しないまま20mほどゆっくり走行、その後加速してほしいと要望を受けていましたが、SLは微妙な加減速が超苦手。なかなかうまくいきません。加えて、一度出発したSLが再度ホームに帰ってくるまでに15分くらいかかるため、撮影時間がどんどんなくなっていきます。時間との戦いの中、7回目の走行でやっと満足いただける走行ができ、監督も納得のいく撮影になったようです。

編集後記

撮影後は、監督自ら撤収作業に加わっていただき、始発列車までには普段どおりのホームになりました。2日の夕方から3日の朝まで休みなしでの撮影、みなさまお疲れ様でした。

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