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廃棄物の削減

JR西日本グループでは、循環型社会の実現に向け、事業活動におけるさまざまな場面で、リデュース(Reduce;廃棄物の発生抑制)、リユース(Reuse;再利用)、リサイクル(Recycle;再資源化)の3Rを推進しています。特に駅・列車から回収されるごみのリサイクルや設備の保守・工事等の鉄道資材発生品については目標を定めて取り組んでいます。

駅や列車から排出されるごみに関する取り組み

駅や列車から排出されたごみは、2021年度は7.5千トン(うち資源ごみ:2.7千トン)でした。

分別ごみ箱を設置し、お客様にもご協力いただきながら、空き缶やペットボトル等資源ごみの回収に取り組むことで、2021年度は99.4%をリサイクルしました。

駅ごみ・列車ごみ(資源ごみ)の発生量とリサイクル率の推移

設備の保守や工事における廃棄物に関する取り組み

鉄道の安全運行を確保するための設備の保守や工事での発生品は、受託工事を含め2021年度は設備工事で224.1千トン、車両で11.2千トンでした。

資源を有効に使用し廃棄物を抑制する設計・工法を採用し、また、発生した資材の再利用等の推進に取り組むことで、2021年度のリサイクル率は設備工事で97.4%、車両で95.8%となりました。

鉄道資材発生品(設備工事)の処理内訳とリサイクル率の推移

鉄道資材発生品(車両)の処理内訳とリサイクル率の推移

  • 端数処理して表示しているため、合計と一致しない場合があります。

サプライチェーンや地域の事業者様と取り組むリサイクル、リユース

鉄道事業で使用する資機材の取引先様に対しては、事業活動において地球環境保護に努めることや、当社が定める「グリーン調達ガイドライン」への協力を求めています。また、サプライチェーンに加え、地域の事業者様と連携した取り組みとして、鉄道事業に必要な資機材の運搬に使用した木製パレットのリユースや、パルプ生産の原料としてリサイクルすることにも取り組み、資源の有効活用とコスト削減を同時に実現しています。

サプライチェーンや地域の事業者様と取り組むリサイクル、リユース

その他の3Rの具体的な取り組み

ここでは、JR西日本が実施している具体的な取り組みを紹介します。

デュース(Reduce;廃棄物の発生抑制)
廃棄物の排出を減らすために、使用量や購入量を削減するだけでなく、長寿命化やごみになる物を使わないようにすることです。

ユース(Reuse;再使用)
使用済の製品や部品等を修理、点検して、繰り返し使用することです。

サイクル(Recycle;再資源化)
廃棄物等を原材料やエネルギー源として再び利用することです。

3R ロゴマーク

ガラスコーティング技術導入によるワックス液の削減

一般に、車両等の床はワックスによるメンテナンスで美しい床面を保っていますが、ワックス除去のために使用する剥離剤は環境負荷が高く、また耐久性が低いため、1〜2ヶ月ごとに再塗布が必要です。そこで、ワックスの10倍以上の耐久性があり、剥離剤を使用しない良質なガラスコーティング施工技術を確立しました。
これにより、産業廃棄物の発生抑制と、メンテナンス原料であるワックス材を削減し、環境負荷の低減にも貢献できます。

ガラスコーティング施工前と施工後

ロングレール化・PCまくらぎ化

鉄道の安全を支えるレールやまくらぎは、安心して長く使用できる材料でなければなりません。レールについては、継目をなくしたロングレール化を進めることにより、レールの長寿命化と継目材料の削減を図っています。なお、ロングレール化は列車の走行抵抗や騒音・振動の低減にも効果があります。また、まくらぎは古くはほとんどが木製でしたが、耐久性の高いPC(コンクリート)まくらぎの導入を進めています。安全性向上だけでなく、廃棄物の発生抑制、ひいては原料木であるケンパスの伐採を削減し、森林保護にも貢献できます。

PCまくらぎ
PCまくらぎとは、「プレストレスト・コンクリートまくらぎ」のことで、コンクリート内に、鉄筋のほか、PC鋼線を挿入し、コンクリートに事前に張力を加えるものです。これにより、ひび割れなどが防げ、まくらぎの強度も増します。

レールの摩耗防止

レールは、車輪との摩擦により、少しずつ摩り減っていきます。この摩耗を防止するための装置を沿線に設置していますが、一部に太陽電池を電源に利用した装置を導入しています。
摩耗防止でレールの長寿命化に寄与しているほか、その電源に太陽電池を用いることで、より環境に配慮した装置としています。

太陽電池を電源に用いた電動塗油器

IC乗車券「ICOCA」の導入によるきっぷなどの削減

西日本各エリアのシームレスな移動の実現に向けて、2003年の近畿エリアでのサービス開始以来、ICOCAの利用エリア拡大を実施しております。
2019年春には、境線に当社としては初めて車内でICカードをご利用いただける車載型IC改札機を導入しました。ワンマン車両では、現在車内できっぷや運賃をいただいていますが、よりスムーズに列車をご利用いただけるものと考えています。
ICOCA利用エリア拡大により、お客様の利便性向上を図るとともに、使用済みきっぷの発生抑制、きっぷの原材料である紙を削減し、森林保護にも貢献しています。

ICOCA定期券

車載型IC改札機 イメージ

電車線路設備のハイパー架線化

従来の直流電車線路設備は、図のシンプルカテナリ架線で、き電線、吊架線、トロリ線で構成されており、ハイパー架線は、き電吊架線とトロリ線で構成され簡素化された設備です。LCA※の考え方により、設備設計時に、材料の削減、工事工程の短縮、取替え時の廃棄物の削減等、一連の流れを考慮し、き電線の乗数、吊架線、支持金具、がいし等の部品数の削減やメンテナンスの省略化により、資材投入量、廃棄量を抑制しています。

  • LCA:ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment)とは、ある製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)又はその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法。

シンプルカテナリ架線とハイパー架線の仕組み

新幹線から在来線へのバラスト・レールの再利用

新幹線で発生したパラストのリユースとリサイクル

新幹線で使用されたレールやバラストの一部は、社内のリサイクル施設で在来線の基準を満たすように整備したうえで再利用しています。また、再利用できないバラストについては、破砕や選別を行い再生砕石[注釈1]、再生骨材[注釈2]、再生路盤材[注釈3]にするなどリサイクルしています。

  • [注釈1]建物基礎下の地盤整備や道路用砕石やクッション用砂・埋め戻し用砂などに使用します。
  • [注釈2]コンクリートを造るうえで、セメント、水と練り混ぜて使用します。
  • [注釈3]道路舗装の一部を構成する部材として下層に敷き詰め、道路表層から伝達される荷重を分散して受け止め地表に伝える役割をします。

発生バラストのリユース率向上

山陽新幹線の道床修繕工事で発生した道床バラストについては、従来、表層部分のバラストを人力で再使用していましたが、新型道床交換機を用いて道床バラストを掘削・回収後、保守基地にて小型自走式スクリーンを用いて道床バラストのふるい分けすることにより、交換する道床バラスト量に対する再使用率がこれまでの20%から40%以上に向上させることができました。

発生道床バラストの再使用率を高めることにより、道床修繕工事における山から砕石として採取される新バラスト量を削減できます。

平成28年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰(リデュース・リユース・リサイクル推進協議会会長賞)

分別ごみ箱の設置

お客様に分別にご協力いただきやすいように、投入口の形の改善やわかりやすい表示を心がけ、駅のホームには透明で最大4分別できるごみ箱を設置しています。一方、列車内ではスペースを勘案し、2分別のごみ箱設置を進めています。

  • 駅ホーム用 分別ごみ箱
  • 列車内用 分別ごみ箱

木まくらぎのリサイクル

木まくらぎのリサイクルの流れ

木まくらぎは従来、交換後大半が焼却処分されていましたが、バイオマス燃料として活用できるルートを開拓し、サーマルリサイクルの拡大を推進しています。

きっぷのリサイクル

繰り返し使用可能なICカード乗車券「ICOCA」を導入し、鉄道利用や電子マネーによるお買物等の利便性を向上させ、紙資源の節減と廃棄物削減に廃棄物削減につなげています。また、各駅で回収された使用済みのきっぷは、正しく使用されているかチェックしたのち、燃料としてサーマルリサイクルしています。

ICT※等を活用したワークスタイルの見直し

本社や支社などのオフィス業務では、様々な場面で多くの紙資源を使用してきました。文書の配布や閲覧を大幅に電子データ化し、文書保管には、電子決裁システムや電子ファイリングを推進するなどして、紙資源に依存しないワークスタイルに見直し、紙使用量の削減に努めています。また、発生したオフィスごみについても分別回収を徹底し、リサイクルに努めています。

  • ICT……Information and Communication Technology「情報通信技術」と訳され、情報処理や通信技術に関連する技術、設備、サービス等の総称です

データ資料を活用した打合せ

古紙の効率的な循環リサイクルの構築

株式会社ジェイアール西日本マルニックスでは、JR西日本内で発生した使用済み車内吊り広告やパンフレットなどの古紙を、各駅で使用するトイレットペーパーにリサイクルする仕組みを構築しました。

従来、これらの古紙は担当箇所ごとで業者に売却する一方で、トイレットペーパーはメーカーから購入し、各駅などに配送していましたが、これらの古紙を集約・一括搬送し、同じ車で同一市内にあるメーカーから再生トイレットペーパーを各駅に供給する、一貫循環リサイクル物流システムとしました。

これにより、JR西日本内で発生する古紙が安定的に効率よくトイレットペーパーに再生される上、物流に関わるトラックの走行距離が大幅に減少しました。

この取り組みが評価され、2012年10月に「日本ロジスティクスシステム協会 環境賞」を、2013年10月に「リデュース・リユース・リサイクル推進協議会 会長賞」を受賞しております。

なお、2014年度からは、列車で使用するトイレットペーパーにも、同システムによる供給を行っています。

ロジスティクス大賞の賞状

古紙の循環リサイクルの流れ

グループ会社などの取り組み

鉄道だけでなく、駅ビルやホテル等での3Rの取り組みも重要な課題と考えており、鉄道以外の事業においても廃棄物の削減や再資源化に取り組んでいます。

食品ロス削減の取り組み

(株)ホテルグランヴィア岡山では、食品廃棄物の排出抑制の取り組みとして、宴会では事前にお客様から食事内容や量等のご希望を細かく確認し、レストランではお客様の年齢層等からお食事の嗜好・量を想定することで、食材の適量発注を実施しています。また、当日の混み具合や食材の残量に応じ、小分け保管している食材から必要な分量を取り出して調理したり、お客様にも食べ残し削減にご協力いただく「30・10運動※」のご案内をするなど、スタッフの工夫のほか、お客様にもご協力をいただきながら食品ロス削減を実施しています。さらに2021年4月から、食品廃棄物のいっそうの有効利用を目的に、地域事業者によるバイオマス発電施設に食品廃棄物を引き渡し、メタン発酵を用いたバイオマス発電に活用することで、食品廃棄物100%リサイクルの実現をめざして取り組みを進めています。

  • 「30・10運動」:会食時の食べ残しを減らすためのキャンペーンで、会食時に、最初の30分と最後の10分は料理を楽しみ、食べ残しを減らしましょう、と呼びかけ、食品ロス削減にご協力いただくもの。

食品ロス削減の取り組み

駅ビル・ホテル等におけるリサイクルの取り組み

大阪ステーション(以下、OSC)では、1日あたり約85万人(2019年度)ものお客様が乗降される大阪駅をはじめ、ホテル・百貨店・飲食物販などの商業施設やホテルから排出ごみが、1日平均約20トンにもなります。大阪駅では、4分別(ペットボトル、カン・ビン、新聞・雑誌、その他ごみ)のごみ箱を設置してお客様に協力いただきながら分別し、商業施設では、各テナントで20品目に分別するとともに、排出時にテナント別、ごみ品目別に計量を行い、データの管理を行うことで、ごみの発生抑制と、リサイクル率の向上に努めています。
また、毎年2回開催している「キッズウィーク(おしごと体験)」では、お子様をOSCのバックヤードに案内し、1日に排出するごみの多さを体感していただいています。そして、廃油利用の石鹸や再生紙のトイレットペーパーなどを紹介することで、環境問題について理解いただく取り組みを継続して実施しています。

ごみ分別の大切さを子供たちにも(「キッズウイーク」でのステーション見学より)

ごみ分別の大切さを子供たちにも(「キッズウィーク」でのステーション見学より)

大阪ステーションシティのリサイクルフロー

京都駅ビル開発(株)では、テナント各社と連携して廃棄物の再資源化に取り組んでいます。駅ビル全体の約6割を占める食品系の廃棄物は、飼料としてほぼ100%再資源化しています。また、廃食用油やその他の廃棄物も、衛生上の理由から焼却している雑芥や割れ陶器等を除いては、全てを再資源化しています。

京都駅ビル

京都駅ビルの廃棄物保管庫(毎日計量し、店舗別に保管)

京都駅前地下街「ポルタ」を運営する、JR西日本京都SC開発株式会社では京都市の「ごみ減量・3R活動優良事業所」に、2012年度、2014年度に引続き2016年度も認定を受けました(認定は永年)。これは、同社が、ごみの減量や分別を推進するに当たって各テナントショップと一体となり、強力な取り組みを展開したことが評価されたものです。

京都駅前地下街「ポルタ」

京都市の認定証

ごみの分別

水資源の有効活用

地球上に存在する水資源のうち、私たちが利用可能な水資源は全体の約0.01%であり、水資源は非常に貴重な資源です。飲料水や調理、トイレ等の生活用水の節水利用や、業務施設で冷却水や洗浄水として利用する工業用水等の循環利用など、各種施策を通じて、水使用量の削減、水資源の保全や有効活用に取り組んでいます。

車両基地における洗浄排水の循環利用

お客様に鉄道を気持ちよくご利用いただくため、定期的に車両を洗浄しています。車両洗浄では多くの水を使用することから、限りある水資源を大切に使うため、洗浄排水(汚水)を浄化して、再使用しています。

また、リニューアルにあわせて駅のトイレを洗浄水量の少ない節水型に更新するとともに、雨水や地下水を貯め、トイレ洗浄水やホーム上屋への散水に活用する等、資源を大切に使用しています。

車両基地での車体洗浄

雨水の循環利用

大阪ステーションシティ(ノースゲートビルディング)では1日に使用するトイレ洗浄水約870立方メートルの約70%を再生水でまかなっています。

ドーム大屋根に降った雨水は線路上空の連絡配管を通ってノースゲートビルディングに運ばれます。雨水はろ過し、浄化処理した雑排水とともに地下再生水貯留槽に貯めた後、トイレ洗浄水として使っています。

節水型トイレの導入推進

駅で使用される上水道の約85%はトイレで使用されています。JR西日本では、地球環境に配慮した快適なエコステーションづくりを推進しており、新駅の設置や既存駅のリニューアル工事等に合わせて、トイレで使用する給水栓や大小便器等に節水型の器具を使用し、設計段階から節水に努めています。

駅トイレのリニューアル

グリーン調達

JR西日本グループは、地球環境保護に取り組み、持続的発展が可能な社会の実現に向けて、グリーン調達を主体とする環境への負荷が少ない資材の購入を推進します。
グリーン調達に関する基本的な考え方は、「JR西日本グリーン調達ガイドライン」に定めています。

NEXT環境マネジメントシステムの推進

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