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トップメッセージ

ポストコロナへの挑戦。
「私たちの志」を体現し、社会において一層大きな役割を果たしていきます。

【ポストコロナの時代に向けて】
ポストコロナという新しい時代へ。
当社グループも、いまこそ未来へ大きく動き出す時だと感じています。

 長引いていたコロナ禍の影響もようやく収束し、社会が明るく前向きに動き始めました。それはJR西日本グループを取り巻く事業環境も同様であり、鉄道のご利用や個人消費も回復しつつあります。
 およそ3年間に及ぶこの未曾有の事態は、社会に大きな変化をもたらしました。それは単なる変化ではなく、未来へと大きく動き出すきっかけとなる、まさに進化だと私は考えています。
 私たちの事業の軸となる「移動」という行動についても同じだと思います。鉄道のご利用は回復しつつありますが、その内容をつぶさに見ていけば、これまでとの明らかな違いに気づくはずです。リモートワークをはじめとする働き方の多様化は、暮らしと仕事をつなぐ「移動」のあり方に大きな影響を及ぼしています。一方、人間の本能ともいえる「移動」への欲求は衰えることなく、改めてFace to Faceで会う喜びや価値が再認識されたのではないでしょうか。ゆっくりと考える時間が増えた結果、価値観はますます多様化しています。出会いを生む、魅力のある新しいまちづくりが進むことで、その都市と都市を結ぶ「移動」へのニーズも増えてくると思います。
 このような価値観の転換は「移動」ばかりでなく、社会や暮らしのさまざまなシーンに及んでいます。ポストコロナへと、時代は変動しています。当社グループも、今こそ未来へ大きく動き出す時であると思っています。

代表取締役社長 長谷川 一明

【2022年度を振り返って】
厳しい事業環境に立ち向かい、乗り越えたことによって
社員の意識も大きく変化しています。

 当社グループでは、2018年度より「中期経営計画2022」に取り組んできましたが、経営環境の激変に直面し、2020年10月に見直しを行いました。最終年度である2022年度は、コロナ禍の収束という機会を捉えた需要喚起などにより、連結・単体ともに3期ぶりの黒字化を実現し、いずれについても通期の業績目標を達成することができました。
 この中期経営計画の5年間を改めて振り返ると、当社グループにとってかつて経験したことがないほどの非常に厳しい時期でした。10年分ほどの変化が一気に到来したことによって当社グループの弱みが浮き彫りにされた一方、構造改革やポートフォリオの見直しなどの変革に着手するなど、前向きに考えるべきことも多くあります。2022年度は、コスト構造改革において通期目標を大きく上回る成果を達成しています。
 そして、このような厳しい経営環境においても、何よりも優先して取り組んできたのが福知山線列車事故を原点とした安全性向上です。当社グループにとって、「安全」は最重要の経営課題であり、それはいつの時代においても変わることはありません。
 厳しい事業環境に立ち向かう中で、社員の意識も変化しつつあります。10年先、20年先の未来を考えたとき、このままの当社グループではいずれ大きな壁にぶつかる。その危機感を覚え、ポストコロナへの挑戦の志を共有できたこともかけがえのない成果だと思っています。

【「私たちの志」に込めた想い】
未来社会における、JR西日本グループの存在意義は何なのか?
その想いを「私たちの志」としてまとめました。

 当社グループでは2023年4月、未来社会における当社グループの存在意義を「私たちの志」として掲げ、「長期ビジョン2032(以下、一部を除き長期ビジョンと表記)」、「中期経営計画2025(以下、一部を除き中期経営計画と表記)」とともに公表しました。
 策定にあたっては、まず、コーポレート部門や事業部門、グループ会社の、将来の経営を担う若い世代の社員を中心に集まってもらい、制約を設けずに自由に議論してもらいました。そのうえで、若い世代の意見をベースに経営層で議論を重ねました。偶然とはいえ、ポストコロナの時代が幕開けする時期に経営の羅針盤となる「私たちの志」を策定できたことはとても有意義なことだと感じています。
 議論では、これからの社会において私たちはどんな役割を担うべきなのか?あるいは企業グループとしてどんな存在でありたいのか?といった高い目線で語り合うことを意識しました。経営層だけでなく、若い世代を含め、どうしても従来の枠に囚われがちになるのですが、そんな時には、未来のありたい姿を語ろう、そこから現実にどう結びつけていくかを考えようと話しました。
 「私たちの志」という言葉も、本来ならば「パーパス」といった名称になるのでしょう。そのような大げさなものではなく、当社グループの社員誰もが身近に自分ごととして考えられる目指す姿をつくりたかったのです。
 「私たちの志」は、「心を動かす。未来を動かす。」という言葉で結ばれています。この「心を動かす」には、社会の人たちの心を動かすばかりでなく、社員自らの心が動くという意味もあると私は考えています。心が弾むくらいの熱い気持ちがないと人々の心を動かすことはできません。これからは社員からの提案などに対しても、「それであなたの心は動くのか?」と問いかけていきたいと思っています。
 「未来を動かす」は少々口幅ったい表現かもしれません。しかし、たとえ小さな力であろうと社員一人ひとりが社会をより良い方向へ動かしていこうという志を抱くことはとても大切なことです。それが当社グループを未来へと動かしていく原動力になるはずです。

【長期ビジョン2032】
「移動」に依存しない「ライフデザイン分野」の拡大に挑戦。
最適な事業ポートフォリオの構築に取り組んでいきます。

 「私たちの志」と10年後のありたい姿の実現に向けて、「長期ビジョン2032」を策定しました。「安全、安心で、人と地球にやさしい交通」、「人々が行きかう、いきいきとしたまち」、「一人ひとりにやさしく便利で豊かなくらし」、「持続可能な社会」の4つを、当社グループが重点的に向き合う社会課題としてビジョンに掲げました。長期ビジョン実現へのチャレンジとして、鉄道の安全性向上を取り組みの基盤とし、鉄道の活性化、ライフデザイン分野の拡大、最適な事業ポートフォリオの構築に取り組んでいきます。当社グループの事業は、これまで鉄道・非鉄道という領域で分けていました。しかし、コロナ禍という事業環境の変化によって、人の移動に大きく依存する分野と、関連性はあるものの必ずしも移動と連動しない分野という新しい軸が見えてきました。そこで新しく「モビリティサービス分野」と「ライフデザイン分野」という2つの分野を設定しています。
 この「ライフデザイン分野」は、不動産やまちづくりに加え、デジタル戦略や総合インフラマネジメント事業など新しい領域にまで及んでいます。
 「ライフデザイン分野」への成長投資として、2027年度までの5か年で4,400億円を計画しています。連結営業利益における「ライフデザイン分野」が占める割合は、コロナ前の2018年度においては20%弱ほどです。これらの分野に対する投資は、利益に結びつくまで期間が長くなるため、しばらくの間、利益貢献は限定的になると見込まれますが、2025年度以降は大きく成長に寄与し、2027年度に35%程度、2032年度には40%にまで高めることを目標としています。かなりつま先だった目標かもしれません。しかし、10年後の当社グループのあるべき姿を見据えた上での戦略であり、実現に向けてすでにチャレンジを始めています。

 

【中期経営計画2025〜ポストコロナへの挑戦〜】
鉄道事業における新しい需要の創出も、
当社グループの未来の鍵を握る大きなチャレンジです。

 長期ビション実現へのファーストステップとして、2023年度から「中期経営計画2025」をスタートしました。この中期経営計画では、期間を従来の5年間から縮めて3年間としています。その狙いは、「ポストコロナへの挑戦」という中期経営計画のタイトルが意味するように、新しい時代に向けてスピーディーに、そしてアグレッシブに挑んでいくことにあります。また、大阪・関西万博や北陸新幹線敦賀延伸といった大きなイベントが、2025年度までに集中することも踏まえています。
 新しい中期経営計画においても鉄道の安全性向上が最優先の経営課題であることは変わりありません。新たに策定した「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2027」に基づき、より一層の安全性向上の取り組みを実践していきます。
 鉄道事業については、基礎的な需要は2023年度末までにコロナ前の9割に回復し、その後も同水準で推移すると想定しています。この失った1割を取り戻し、さらに伸ばしていくために、本格的に回復するインバウンド需要の取り込み、デジタル戦略との連携、さらには駅を中心としたまちづくりなど多様な施策を推進し、「鉄道を中心としたモビリティサービスの活性化」に取り組んでいきます。鉄道における新しい需要の創出も、当社グループの未来にとって大きなチャレンジなのです。また、地域との共生も継続して取り組んでいくべき重要なテーマです。これらの取り組みでは多様な分野のパートナーとの共創も積極的に進めていきます。

 

【デジタル戦略の推進】
グループ力の強化から、日々の働き方改革まで
グループシナジーの最大化に向けてデジタル戦略を推進していきます。

 DXの推進もグループシナジーの最大化に向けて鍵を握る重要な戦略だと考えています。お客様一人ひとりと当社グループの多様なサービスをつなぐために、「WESTER」や「モバイルICOCA」などを展開しています。中期経営計画では、各社の連携を深めるなどグループ力の強化も重要な戦略となります。このようなグループマーケティングをはじめ、デジタルを活用したさまざまな取り組みを進めていきます。
 DXの推進は、業務の効率化や働き方改革など、日々の仕事においても改革をもたらすはずです。すでに一部の鉄道の現場ではタブレット端末を活用していますが、業務中に使用可能なPCもしくはスマートデバイスを2023年度中に全社員に貸与する計画です。
 将来的には、社員が直接事業データを分析したり、業務改善のためにアプリを開発するなど、新たな価値を創造できるような仕事の進め方を実現していきたいと思っています。

 

【人的資本の充実】
自分たちの仕事が社会を未来へと動かしている。
そんなやりがいが実感できる環境づくりを進めていきます。

 サステナブルな取り組みにおいてなによりも重要なもの、それが「人」であることは言うまでもありません。当社グループが進化していくためには、自ら変革し成長する人財こそが一番の基盤となります。少子高齢化による労働力不足が顕在化するいま、その重みはますます増しています。
 社員にとって働きがいのある職場を実現していくためには、賃金などの処遇からワークライフバランスまでさまざまな要素があります。なかでも一つ、私が大切だと考えているのが、誇りや達成感を持って仕事に向き合える環境です。自分たちの仕事が社会に役立っている、あるいは社会を未来へと動かしている。日々の仕事の中で、そんなやりがいを感じられる職場づくりを進めていきたいと思っています。またこのような当社グループの姿勢を、次代を担う若い人たちに発信していくことも重要です。その意味では「私たちの志」は未来の社員へのメッセージでもあるのです。
 ダイバーシティ&インクルージョンの推進も大切な取り組みです。性差や国籍ばかりでなく、LGBTQなど多様な人財がそれぞれの力を最大限に発揮できる環境づくりを進めていきます。私たちとは異なる経験や知識を持つ社会人採用も積極的に行っていきます。当社グループは、これから「ライフデザイン分野」を中心に幅広い事業にチャレンジしていきます。そのためには、多様な価値観を持つ人財の結集が欠かせません。
 さらに、当社グループ全体で戦略的な人財育成を進めていくために、2023年4月、「人財戦略部」を新設しました。今後は、グループ各社を連携させたキャリアパスや適材適所による人財育成など、人的資本の面からもグループ力の強化を図っていきます。

 

【ステークホルダーへのメッセージ】
次なる高い頂を目指し、
JR西日本グループ全社員の力を一つにして前進していきます。

 先日、海外の機関投資家とリモートによるミーティングを実施したところ、「よくぞここまで立ち直った」という言葉をいただきました。そのあと「しかし、これからだ」としっかり釘を刺されたのですが、この言葉は私自身にとって、そしてなによりも社員にとってとても励みになるものだと思います。これまでの社員の頑張りには経営者として機会があるごとに敬意を伝えています。
 およそ3年に及ぶコロナ禍の期間、私たちは必死の思いで崖を登ってきました。いま、ようやく未来への道筋も見えてきており、次なる高い頂を目指し、力強い一歩を踏み出したところだと感じています。「心を動かす、未来を動かす」企業グループへと進化していくために、JR西日本グループ全社員の力を一つにし、前進していきます。

西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 長谷川 一明

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