鉄道に生きる

小泉 理 金沢駅 係長

乗務員・指令員の経験を活かし 駅で輸送担当の係長として安全運行を支える

電話で確認会話しながら指示を出す。

 北陸新幹線と北陸本線、IRいしかわ鉄道線が乗り入れており、日々たくさんのお客様で賑わう金沢駅。今回の主人公である小泉は、そんな金沢駅で輸送担当の係長として安全運行を支え、若手社員の育成に精力的に取り組んでいる。

私たちの仕事は社会に必要とされている

副駅長と設備についての打ち合わせを行う。

 1997年4月に入社し、初めての職場は駅ビルのグランドオープンを間近に控えた京都駅だった。福井県で生まれ育ったため慣れない土地で駅名を覚えることにも苦労したが、たくさんのお客様のご利用を目の当たりにし、“社会に影響力のある、必要とされる仕事をしているのだ”と思うと頑張ることができた。また、笑顔で大きな声であいさつをしていると、毎日ご利用されるお客様が声をかけてくださることもあり、それが励みになったという。

 その後、車掌、運転士とキャリアを積み重ね、2003年に社内のステップアップ研修を受講し、2005年に金沢駅に着任、輸送担当として列車の組成や入換、信号扱い(工事の際も含む)などを担った。2007年に輸送指令に異動となり、それまであまり関わることのなかった施設や電力など他系統の社員との調整に苦労しながらも、駅係員や乗務員で培った知識と経験を糧に指令員としての力を磨いた。

北陸新幹線の金沢開業に向けたダイヤ改正に携わる

列車や車両の構内計画を策定する。

 2010年に輸送計画グループに異動となり、着任3年目に北陸新幹線金沢開業のダイヤ改正に携わった。特急「ダイナスター」の新設や特急列車と北陸新幹線との接続ダイヤの作成、また、北陸本線から経営分離されることになった3つの第三セクター会社とのダイヤ調整など、今まで経験したことがない内容で手探りの毎日だった。立場によって意見が噛み合わず悩むこともあったが、とことん議論を重ねることでより良い答えを導き出していった。「無事、ダイヤ改正当日を迎えられた時には、大きな達成感を感じました」。

 もちろんダイヤ改正を迎えて終わりではない。ダイヤを大幅に変更したことで、お客様からは想像以上に多数のご意見をいただいた。列車ダイヤはお客様の生活に深く密着していることを痛感するとともに、改善に向けて、お客様の乗降や車内の混雑状況などを自分の目で確認するため現地に積極的に足を運んだ。

 2015年、総括指令長として再び指令に戻り、自身が作成したダイヤを運行管理することとなった。「この列車は特にご利用されるお客様が多いため、接続に注意する」など、輸送課時代の多数の現地調査で養ったお客様の視点を他の指令員にも伝えた。

さまざまな経験で得た気づきを糧に相互理解の促進をめざす

駅構内の設備や巡回時の留意点を若手社員に説明する。

 現在は金沢駅の係長としてホームの安全性向上に注力している。北陸新幹線の開業により、金沢駅は在来線との乗り換え駅となりお客様のご利用が増加した。ホームの混雑解消が課題であり、改善できることはないかとホームを巡回し、そこで得た気づきをもとに、構内ダイヤや案内表示の見直し、自動販売機の位置変更など、仲間と共に改善を行っている。

 また、若手社員の育成も大切な役割だ。金沢駅ではIRいしかわ鉄道の社員も共に働いており、北陸新幹線敦賀開業による業務エリアの拡大に向けて駅輸送の知識や技術を学んでいる。JR西日本のみならず、IRいしかわ鉄道の若手社員にも、今後の駅輸送の核となってほしいと期待を込め熱く指導にあたっている。「できるだけ多くの経験を積んでほしいという思いから、一人ひとりに役割を与えるようにしています。良い点はしっかりほめる、必要な時には厳しく指導するというメリハリも意識しています」。

 今後の目標は「会社や系統、立場を超えてみんなが連携し笑顔で働けるJR西日本グループをつくること」だ。駅係員、車掌、運転士、指令員と、色んな立場を経験したことで得た気づきや考えを後輩社員に精力的に伝え、相互理解の促進に寄与していきたいと考えている。

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